ベビーウォーカーは危ない
ベビーウォーカー、日本では歩行器とも呼ばれています。赤ちゃんがハイハイをする頃になると、いつから赤ちゃん歩行器を使ってみようかなとか、どんな赤ちゃん歩行器がいいんだろうとと、赤ちゃん用品のお店(ベビザラスや西松屋など)に行くと、たくさんの種類がありどれがいいのかな、なんて悩んでしまいますね。
早く立ち上がったり歩けるようになるかもしれない、ご飯を食べさせるのが楽そう、赤ちゃん歩行器に入れておけば目を離しても大丈夫そう、など親から見たメリットや、可愛いベビーウォーカー、人気のあるベビーウォーカーなどに目が行きがちですが、まずは、ベビーウォーカーを使うことで増える赤ちゃんにとってのデメリットを考えてみる、というのが今回のテーマです。
アメリカの小児科学会の「Baby Walkers: A Dangerous Choice」によると、
「多くの親は、ベビーウォーカーが歩く練習になると思っていますが、実際には、ウォーカーの使用は子供が歩き出す時期を遅くします。」
とあります。
(注)「」内の文章は、筆者が日本の事情に合わせて訳し引用したものです。太字も筆者。
ベビーウォーカーの危険性として、
「階段からの転落 – 骨折や深刻な頭部の怪我につながることが多く、ベビーウォーカーによる怪我の最も多い原因となっている。」
「やけど – ベビーウォーカーを使うことで赤ちゃんが高いところに手が届くため、テーブルクロスを引っ張り、熱いコーヒー(お茶)をかぶってしまう、ストーブの上のやかんを倒したり、コンロなどに手がとどいてしまう。」
「溺れる – ベビーウォーカーに乗ったままプールやバスタブに転落する。」
「中毒 – 高いところに手が届いてしまう(訳注:なんでも口に入れてしまう子供が薬や洗剤などに手が届いてしまうということだと思います)」
「ベビーウォーカーでの怪我は、親が見ている間に起こっています。これは、保護者が十分に早く対応できないためです。ベビーウォーカーに乗っている子供は1秒の間に1メートル以上移動することができます。これが、大人の目が届くところで使用しても危険な理由です。」
確かに、ベビーウォーカーに乗った子供がベビーウォーカーを操るように部屋中を走り回る姿を見ますね。元気な姿は微笑ましいものではありますが、そのために親が見ていても対処が間に合わずに事故につながるという点は覚えておきたいものです。
ベビーウォーカーの代わりになるもの
では、ベビーウォーカーの危険性に対処するにはどうしたあら良いのでしょうか。
「ベビーウォーカーに子供を乗せない。保育所や、よその家でもウォーカーがないことを確認する。」
「より安全な方法で遊ばせる。
ステーショナリーアクティビティセンター(*)- 車輪のないウォーカーのようなもの。回転したり弾む椅子が付いているものが多い。
ベビーサークル – 座ったり、ハイハイや歩くことを覚えるのに、最も安全な場所です。
ハイチェア – 少し大きくなった赤ちゃんは、ハイチェアに座りトレーでおもちゃ遊びを楽しめる場合が多い。」
ベビーウォーカーを使わない、安全な方法を薦めています。
(*)ステーショナリーアクティビティセンター
日本では耳慣れない言葉で、日本語での呼び名もわかりませんでしたので、商品例を載せておきます。
ベビーウォーカーは使うべきではない
ベビーウォーカーの安全基準(米国)
アメリカでは、1997年にベビーウォーカーの安全基準が定められ、ドアを通り抜けられないようにベビーウォーカーの幅が大きくなり、階段などの段差でブレーキがかかるように改良が進んだようです。それでも、
「ベビーウォーカーに車輪が付いていることには変わりがなく、赤ちゃんが早く移動し、高いところに手が届く点はそのままです。」
「アメリカ小児科学会は、車輪のついたベビーウォーカーの製造と販売の禁止を呼びかけています。」
ということです。
つまり、ベビーウォーカーには赤ちゃんが歩く時期を早める効果がなく、より安全な方法がある中、親が見ていても危険を伴うものであり、使うべきではない。というのがアメリカ小児科学会の見解です。
便利そう、楽しそう、役立ちそうという理由で赤ちゃんが使うものを選んでしまいがちですが、それが大切な子供にとって本当に役立つものなのか、安全なものなのかという点にこそ、十分に気をつけたいものです。