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電力自由化の誤解 – 発電源を選べない不自由さ

電気が家庭に届くまで

家庭でも電力自由化が始まるということで契約する電力会社を選ぶことができるようになりますが、まだまだ誤解されている方が少なくないようです。

電力自由化で契約先を変えても家に引いている電線を変える必要はありません。

どういうことかというと、送電システムは変わらないからです。
契約会社を変更することで、電気が不安定になったり、A社と契約している家は電気が使えるけど、B社と契約している家は停電する、ということもありません。

契約をするのは、あくまでも電気の小売会社であり、自由化で参入する電力小売会社が発電源や送電網を用意するわけではありません。家庭で契約する電力小売会社はそれぞれ発電元と契約して電気を買い、それを各家庭に売ることになります。

混ざった電気は分けられない

発電方法が原子力発電でも、風力発電でも、太陽光発電などの再生可能エネルギーであっても、火力発電でも、水力発電でも、そこで発電された電力(電気)は(ほぼ)全て同じ送電システムに送られ、そこから家庭に送られます。

例えば、1つのバケツにいろんなところから汲んできたコップの水を入れたとしましょう。あるコップは川の水、別のコップは井戸の水、また別のコップは池の水のものです。

さて、バケツに入っている水から井戸の水だけ取り出したい。できませんね。

電気の場合も、同じように分けて取り出すことはできません。

発電されたものは、「混ざった」状態で送られるため、うちは、太陽光発電で発電された電気だけ使いたい!と言ってもそれは無理なわけです。

仮に、ある電力小売会社が、うちが買っている(仕入れている)電力はすべて再生エネルギーによるものです、と発表し、その会社と契約したとしても、家に届く電気が100%再生エネルギーになることは残念ながらありません。

発電内訳が開示されない

さらに、経済産業省は、発電内訳の開示を義務化しない方針のようですので、すべての電力会社が発電方法どのような割合で使っているかを見ることはできそうにありません。

開示の有無にかかわらず、うちには原子力発電の電気を送らないで、ということは先に述べたようにできないわけですが、発電内訳がわかれば、その電力会社の電気のXX%がエコ電力だ、ということはわかります。

開示は不可ということはないでしょうから、エコを前面に出したい電力小売会社があれば、その会社は開示するかもしれません。ただ、比較ができなければ、そこに意味がありませんね。

そういう意味でも、発電内訳の非開示という方針は、より多くの情報、条件からそれに適した電力会社を選択したいと考える消費者にとってはメリットがないものなので、ぜひ、改善して欲しいところです。

電力自由化詐欺に気をつけて

「電線の増設が必要です」「電線の切り替え工事に来ましたー」などと言ってくる電力自由化詐欺もあるようです。気をつけてください。

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