ラーメン食べ歩き番組
テレビでは相変わらず「食」に関するものが人気です。
「食べ歩き」「大食い」「ランキング」などなど。
もうだいぶ古い話になりますが、ラーメンの「食べ歩き」と「ランキング」がセットになったスペシャル番組がありました。都内の「美味しい」ラーメンをラーメン通がはしごして食べて回るというもの。
編集がありますので、本当に同じ日に食べているかはわからないわけですが、数人で何軒もの店を回っていきます。番組も終わりが近づき、「もう食えねー」状態の出演者が「もう1軒だけ」と最後のラーメン店に向かいました。
店の名前は「A」としておきましょう。
焦がしネギがアクセントのあっさり醤油系です。
そして、苦しそうな出演者達は、口をつけるなり「うまい!」
見事、全員スープまで飲み切り、「これなら何杯でも食える」「まだまだ入る」・・・・
まだ、疑うことを知らなかった私も、「行ってみようかな」と思いましたよ。
実はその店、職場への通勤電車の窓から見える場所にありました。翌日、仕事が終わった帰り道に窓から見ると・・・・まさかの、いや、やはりの長蛇の列。みんな考えることは一緒ですねぇ。
そのうち、列も短くなるだろうと思い、一週間経ち、二週間経ち、一向に列が短くなる気配がありません。
噂のラーメンを食べてみたが・・・
我慢しきれず、職場の同僚と列に並ぶことにしました。
何時間待ちましたかねぇ・・・・2時間ではきかなかったと思います。東京の人気店ともなれば、2時間待ちなんて当たり前ですからね。そのくらいでは、さすがに驚きませんので、それ以上だったのは間違い無いですね。
さて、ようやく店に入り、席に着き、待ちにまった一杯を注文し、ウキウキと待ちます。そして、ついに感動の対面。なんですが・・・この時点で周りの客の反応がちょっと変なことに気づいてました。
まぁ、結果から行くと、まずくは無いけど、大したこと無い。並んで食べるほどのことは全く無い、というレベルの味。
満腹のラーメン好きたちが、これならまだまだいけると断言していた味がこれ? 客が増えていきなり味が落ちた? クエスチョンマークが尽きないまま店を後にしました。
噂のラーメン店にいったい何が?
さて、その後日談
私は知らなかったのですが、その店と同じ通りの徒歩数分の場所に、同系統のラーメンを出す老舗の店「B」があったのです。そちらも元々行列店。 それを知り、食べに行ってみたところ、比べるまでもなく老舗の勝ちでした。
さらに後日談
テレビに出ていた店「A」の行列は日に日に短くなり、ついには待ち時間ゼロに。ゼロですよ。店の中だって空席ありですよ。もしかしたら、自分の舌がおかしかったのかと、再度行ったので知ってます。
さらにさらに後日談
その店がどうなっているかと調べたら、なくなっているようです。パッと店を出してパッと稼いでパッと畳んだわけではないのはわかっていますが。最近、そのあたりに行っていないので事情はわかりませんけど。
テレビで評判の・・・・とは
ようやく本題です。
最初に出てきたテレビ番組のラーメン通の方々や、そして、おそらくテレビ局スタッフも老舗のラーメン店「B」のことは知っていたでしょう。万が一知らなかったとしても、テレビで取り上げた「A」の味をラーメンを食べ歩くラーメン通が絶賛するはずもないでしょう。
もし、「B」を知らなかったのであれば、調査不足ですし、「A」を絶賛する舌であれば、視聴者に味を伝えるラーメン通として役不足です。
まぁ、結局は、番組を利用した宣伝だったと考えるのが自然でしょうね。
テレビ番組というのは、そのように作られています。
もっとも、その宣伝に見合うだけの味があれば、行列がなくなることもなかったと思いますが。
正しい情報を見極める難しさ
何かの食材をテレビで取り上げた翌日に、どういうわけか朝からスーパーやコンビニに商品が並び、メーカーの商品であれば、あらかじめメーカーが用意したPOPが貼り出されているのを見たことはありませんか? 番組放映後に商品やPOPの手配をしたら間に合うものではありません。
最近では、インターネット上で大量の情報が手に入りますが、やらせレビュー、宣伝のための記事なども多く、しかも巧妙になってきているために、正しい情報が欲しい消費者にとっては、ますます見極めが難しくなってきています。メディアを利用した爆発的な収益・・・・という面では参考になる話ではあります。