アウトラストとは
Outlast(アウトラスト)は、NASAのために開発された温度調節機能技術を採用した素材ということで、いろいろなメーカーからアウトラストを使用したウェアやグローブがラインナップされています。
私も、グローブ、インソール、インナーウェアにアウトラストを使用したものも使っていますが、思うほど愛用者が少なく不思議に思っています。
アウトラストの仕組み
上記オフィシャルサイトには、アウトラストの仕組みを
「温度調節機能のヒミツは、2〜30ミクロンという小さなマイクロカプセルの中に入ったパラフィンワックス。体からの余分な熱を吸収し、寒くなると蓄えていた熱を放出する・・・快適だと感じる温度(31℃〜33℃)をキープ・・・・・」
とあります。
この説明で分かる人はピンときたかもしれませんが、わからない人には全くわからない可能性があるので、余分な解説をしてみましょう。
布地の無数のマイクロカプセルの中のパラフィンワックスは、融点(固体が液体に変化する温度)が32度前後という性質を持っているのでしょう。理科の実験を思い出してみると、この融点を越えて固体が液体に変化する時には熱を吸収します。融解熱ですね。 反対に、液体が固体に変化する時には熱を放出します。凝固熱ですね。
つまり、アウトラスト素材を身に着けていた場合、肌の表面温度が32度前後を越えると、マイクロカプセル内のパラフィンワックスが溶けて熱を吸収し、逆に肌の温度が下がってくると、熱を放出しながら固体化するという仕組みです。
ますますわかりにくくなってしまったかもしれませんが、布地が肌の温度に合わせて温度を調節する機能を持っているというわけです。
アウトラストの効果
実際、アウトラストを使用したウェアを身につけているとわかるのですが、気温の低い環境で運動をした後の体の冷え方が他のウェアよりもゆっくりなことが実感としてわかります。劇的に違うというよりは、じんわりと違う、うん、確かに違うな、という感じに違います。
夏ならアウトラストの熱を吸収する特性でヒンヤリ感が心地良いです。最近は寝具にも使われているようで、そのキャッチフレーズはやはり、「ひんやり」。一年を通して快適に過ごすための技術がアウトラストなんですね。
アウトラストの欠点
そんな優れもの素材アウトラストにも欠点があります。
インナー(下着)を身につける時は、比較的肌の温度が高い条件が多いと思います。それが冬だとどうでしょうか。暖かな屋内であっても、体感的に夏には心地が良い着た瞬間のヒンヤリ感が避けられません。暖かく過ごしたいのに一瞬ヒンヤリ。。。時間が経てば快適になるのですが、暖かく過ごしたい時のヒンヤリ感。この第一印象の悪さが唯一と言って良いくらいの欠点ではないかと思います。
仕組みを理解していれば、このヒンヤリが後から暖かさになって返ってくるとわかるのですが、第一印象って大事ですよね。
もう一つ、欠点というよりも、日本ならではのハンデと言って良いかと思うのが、アウトラスト(Outlast)というネーミング。
英語圏の消費者にとっては、outlast という言葉は、「長く続く」とか「長生きする」という意味の単語なので、「暖かさ(涼しさ)が持続する」というイメージを与える言葉です。しかし、日本では、「outlast」ってどういう意味?と聞かれて即答できる人が少なそうです。
日本でインナーの機能を表す言葉としてよく使われているのは、「ヒートなんとか」、「クールなんとか」、「ホットなんとか」のように、より多くの人がその名前を見て機能をイメージしやすい言葉です。 「なんとかサーモ」でもギリギリかもしれませんね。
その点、ユニクロのヒートテックなんていうのは秀逸なネーミングだと思います。「アウトラスト」も、もう少し日本人に分かりやすい名称だったら、今よりもヒットしていたかもしれれません。
アウトラストをどこで使う
通勤から登山、スキー、スノーボードまで、季節、シチュエーションを問わずに使えると思います。もちろん、アウトラストさえ使っていれば万能というわけではないのは、どんな素材でも一緒です。
スポーツウェアとしては、スキーやスノボをする方にはお馴染みのフェニックスが以前から積極的にアウトラストを採用しています。
Mid wt. Stretch Crew
Fleece Middle Jacket
スキーやスノボの場合、リフトに乗りゲレンデの上に着く頃には体が冷え、滑りおりてくると汗ばむ暑さ、再びリフトで冷え・・・・の繰り返しです。そんな時こそアウトラストの出番ですよ。
クライマーの方の場合も、ピッチ毎のビレーの時など動けません。登っている時に温まった体がどんどん冷えます。が、温まるために体を動かすことはできません。そんな時にはアウトラストは本当にありがたいものです。
是非お試しください!